Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
原著
認知症患者の終末期における積極的治療の選好とその関連要因の探索: 遺族・医師・看護師・介護職を対象にしたインターネット・アンケート
林 ゑり子 高橋 明里青山 真帆升川 研人宮下 光令
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2022 年 17 巻 3 号 p. 109-118

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抄録

【目的】(1)認知症患者の終末期における積極的治療の選好に関して遺族,医療者間での違い,(2)終末期医療の選好の関連要因を明らかにする.【方法】認知症患者の遺族(618名)と,医師(206名),看護職(206名),介護職(206名)の医療者に2019年10月にインターネット調査した.【結果】認知症患者の遺族は終末期に「食べられなくなった際の胃ろう;49%」(p<0.01),医療者は「大きな病気になった際の手術:39%」(p<0.01)を希望した.多変量解析で代理意思決定者を望む遺族は点滴(OR: 1.62, p=0.02),内服の継続(OR: 1.74, p<0.01)を,医療者はよい看取りの要件で人との関係性が重要な人ほど,手術(OR: 2.15, p<0.01),延命治療(OR: 2.00, p=0.01)を希望した.【結論】医療者と家族の間で,終末期の治療に関する選好が必ずしも一致しないため,治療選択時に配慮する必要がある.

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© 2022 日本緩和医療学会
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