2024 年 19 巻 1 号 p. 1-5
終末期がん患者の呼吸困難に対する高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC)はガイドラインなどで言及されているが,その適応はいまだに確立していない.今回われわれは,緩和ケア病棟入院中にHFNCを導入することで,呼吸困難が増悪する中でも,会話や食事といった日常生活動作の楽しみを維持し,それぞれの患者が「その人らしく」終末期を過ごすことができた3症例を経験した.緩和ケア病棟におけるHFNCは,効果と侵襲性とのバランスを慎重に検討したうえで実施すれば,呼吸困難の緩和による患者のQOL維持向上に寄与すると考えられた.