【目的】外来で放射線療法を受けるがん患者の気がかりを測定できるスケール開発を目的とした.【方法】文献検討をもとに項目を精選し,Item-level Content Validity Index(I-CVI)による内容的妥当性の検討でスケール原案を作成した.その後,5施設の外来通院で放射線療法を受けるがん患者400名に無記名自記式質問紙調査を実施し,スケールの信頼性・妥当性を検討した.【結果】探索的因子分析で2因子(がんとともに生きていくことの気がかり,照射生活を送ることの気がかり)9項目が確認された.スケール全体のCronbach’s α係数は0.848, 確証的因子分析における適合度はGFI=0.930, AGFI=0.879, CFI=0.926, SRMR=0.058であった.新版STAI状態不安尺度と相関を認めなかったことから,一定の弁別的妥当性を確認した.【結論】本研究で開発した外来で放射線療法を受けるがん患者の気がかりスケールは,信頼性,妥当性の結果に対しては概ね確認できた.
Purpose: The purpose of this study was to develop a scale that can measure the concerns of cancer patients undergoing outpatient radiation therapy. Method: First, items were created based on a review of the literature, and a draft scale was created by examining content validity using the Item-level Content Validity Index (I-CVI). In the main study, researcher conducted an anonymous, self-administered questionnaire survey on 400 cancer patients undergoing outpatient radiation therapy at five institutions, and examined the reliability and validity of the scale. Result: Exploratory factor analysis identified nine items with two factors (concern about living with cancer and concern about living with irradiation). The Cronbach's alpha coefficient for the entire scale was 0.848. The goodness of fit in confirmatory factor analysis showed GFI=0.930, AGFI=0.879, CFI=0.926 and SRMR=0.058. No correlation was observed with STAI Y-1, and a certain level of discriminant validity was confirmed. Conclusion: We generally confirmed the reliability and validity results of a concern scale for cancer patients receiving outpatient radiotherapy.
放射線療法は有効ながん治療法の一つで放射線治療適応率は23.7%と増加し1),患者への負担が少なく手術などに比べて患者のQuality of Life(QOL)を維持しやすい2),通院治療が可能で幅広い時期や目的で使用できる.しかし,放射線療法は閉鎖的空間や固い寝台といった特殊な治療環境や目に見えない治療という特徴があり,外来放射線療法開始前の患者は未知なる治療に対する心配3),がん罹患や照射に対する否定的感情の払拭を試み,有害事象の出現や重症化に対する懸念を抱いていることが報告され,気がかりが生じやすい状況にある4).
気がかりとは広辞苑によると「気にかかること.心配.懸念」とされ5),神田らは気がかりを不安から派生する感情の一つでストレッサーに対する急性ストレス反応として位置付けている6).外来通院で放射線療法を受けるがん患者も同様に,照射を受けながらの生活は未知の体験でストレッサーとなり,認知的評価を経て急性ストレス反応として気がかりが生じると捉えることができる.これら患者の気がかりを把握し,早期の支援ができれば安定した状態で日々の照射を継続・完遂できる.しかし,放射線療法を受ける患者の個別的な気がかりを誰もが簡便に把握できるツールは存在しない.
森らは,放射線治療初診患者への苦痛スクリーニングの検討で項目が漠然としすぎて具体的なニードがつかみにくいことを指摘しており7),放射線療法に特化した気がかりが具体的に把握できるツールの開発が望まれる.先行研究のがん患者苦悩尺度8),症状の苦痛尺度日本語版9)は深い悲しみの感情を伴う複雑な要素を含み,放射線療法に特化した気がかりは測定できない.放射線治療に関連する不安の質問票10)は,不安とは異なる気がかりの概念を測定することはできず,がん罹患の伴う影響を含めた気がかりを把握することは困難である.RT Concerns Scale11)は,放射線療法に関する乳がん患者の情報ニーズを測定するツールである.現時点では既存のスケールで放射線療法を受けるがん患者の気がかりを測定することは困難でスケールの開発は未着手である.
そこで,本研究は,外来で放射線療法を受けるがん患者の気がかりを測定できるスケール開発を目的とする.スケール開発によって,放射線治療科の外来看護師の誰もが簡便に治療開始前から開始直後の患者の気がかりを把握でき,必要な患者に対して個別的かつ具体的な支援が提供できる.
放射線療法とは,「密封小線源治療や内用療法の内部照射を除き,放射線治療装置を用いて,体外から体内のがん病巣に放射線を照射して治療する外照射」とした.
気がかりは,神田ら6)の理論的枠組みを参考に「がん患者が,がんと向き合い外来通院で放射線療法を受けることに関連して生じる身体,心理,社会的な戸惑い,困難性の認知」とした.
外来で放射線療法を受けるがん患者の気がかりスケール開発のプロセス 1. 気がかりスケール原案の作成 1)文献検討による項目の精選スケールの項目を作成するために,医中誌WebとMEDLINEを用いて放射線療法を受けるがん患者の気がかりに関する文献検討を行った.国内論文17件3,12–27)とシステマティックレビュー28)の先行研究に採用された海外論文6件29–34)の計23件の文献検討から,放射線療法を受けるがん患者の気がかりに関する96のアイテムプールを得た.さらに,研究者1名で意味内容の重複を確認し,気がかりスケール原案として21項目に精選した.
2)内容的妥当性の検討文献検討をもとに精選した21項目について,外来で放射線療法を受けるがん患者2名,放射線治療科の外来看護師2名に,項目の内容や回答のしやすさの意見を求めて表現の修正を加えた.次に,同意の得られた7名の専門家(がん看護専門看護師2名,がん放射線療法看護認定看護師5名)に,気がかりの概念と項目間の関連性を問う無記名自記式質問紙調査を実施し,内容的妥当性を検討した.関連性とは,気がかりの定義と項目がどのくらい関連しているかを示し,専門家自身の放射線療法看護の経験や考えをもとに外来通院での気がかりを測定できる項目かどうか回答を求めた.「1. 全く関連がない」~「4. 非常に関連がある」の4段階リカート法による評価とし郵送にて回収した.採用基準は,Item-level Content Validity Index(I-CVI)0.78以上を用いた35).
結果,I-CVI 0.78未満の8項目を削除し,13項目の気がかりスケール原案とした.追加項目に関する意見はなかった.
2. 本調査 1)調査対象者外来通院で放射線療法を受ける患者400名とした.対象施設は研究者のネットワークから機縁法で依頼し,施設長の承認が得られた5施設とした.地域や施設特性の影響を考慮して,関東地方,近畿地方2施設,中部地方,九州地方の施設とした.
・適格基準と除外基準適格基準は,体外から放射線を照射する外照射,がんの種類や治療の目的は問わないが告知されている,20歳以上の成人・老年期にある患者とした.除外基準は,密封小線源治療や内用療法の内部照射,予後6カ月以内の終末期や精神的に異常な混乱をきたしていると医師が判断した患者とした.
2)調査方法郵送法による無記名自記式質問紙調査を実施した.対象施設の施設長に研究の趣旨や調査方法,倫理的配慮などを記した研究依頼文,承諾書を郵送し研究協力を依頼した.承諾を得た後,対象施設の認定看護師に研究内容と質問紙の配布方法を書面で説明した.治療開始前~開始直後の早期の気がかりを把握するスケールを開発するため,放射線治療科の初診時または初回照射時に調査対象者に研究依頼文,質問紙,返信用封筒の配布を依頼した.3週間の回答期間を設け,調査対象者から研究者へ直接の郵送で回収し,回答の返送をもって研究への同意とした.調査時期は2022年11月~2023年11月であった.
3)調査内容質問紙は,(1)基本属性,(2)気がかりスケール原案(13項目)で,配布された400部のうちランダムに選んだ200部に(3)新版STAI36)(40項目)の質問紙を追加した.
(1)基本属性年齢,性別,婚姻,仕事,がんの種類,がん告知からの期間,放射線治療状況,PS,通院手段,家族および家族以外に相談できる人について回答を求めた.
(2)気がかりスケール原案(13項目)気がかりスケール原案の各項目について,「1. 全くそうは思わない」~「5. 非常にそう思う」の5段階リカート法で回答を求めた.点数が高いほど気がかりが高いことを示す.
(3)新版STAI(弁別的妥当性の検討)新版STAIは,状態不安尺度20項目と特性不安尺度20項目で構成される4段階尺度で信頼性と妥当性は確保されている36).本研究で開発するスケールは,不安とは異なる概念を測る目的があり,新版STAIとは相関を示さないことを予測し,弁別的妥当性を検討した.使用にあたっては,検査用紙を購入し使用した.
4)分析方法統計解析はIBM SPSS Statistics Ver.29,モデル適合度の評価はIBM SPSS Amos Ver.29を使用した.有意水準はp<0.05およびp<0.01とした.項目分析は,天井効果とフロア効果,I-T相関分析,項目間相関,GP分析を行った.本スケールは項目数が少なく,項目分析の段階で必要な項目が削除されてしまうことを避けるために,先行研究37)を参考にSpearmanの相関係数を用いてI-T相関は0.2以下,項目間相関は0.7以上の項目を削除の対象とした.
その後,主因子法,プロマックス回転による探索的因子分析を行い,確証的因子分析で因子構造を確認した.因子負荷量は0.35や0.40以上が採用されており38),似たような項目だけで構成されるのを避けるために本研究では0.35以上を採用し,二つ以上の因子に0.4以上の因子負荷量を示す項目は削除の対象とした.
適合度指標はGoodness of Fit Index(GFI),Adjusted Goodness of Fit Index(AGFI),Comparative Fit of Index(CFI),Standardized Root Mean square Residual(SRMR)を用いた.信頼性の検討は,Cronbach’s α係数で内的整合性を確認した.弁別的妥当性の検討として新版STAIとの相関を確認した.
5)倫理的配慮本研究は,中京学院大学看護学部研究倫理審査会の承認(承認番号:21-07)および対象施設の倫理審査会の承認(承認番号:791, 233, 864, J-0463, 23-4)を得て実施した.調査対象者には,研究目的,概要,研究参加への自由意思,参加しない場合も不利益は被らないこと,個人情報の保護,データの守秘,質問紙への回答と投函によって研究への同意とすること,研究者の問い合わせ先を依頼文書で説明した.
調査対象者に配布した400部のうち,回収数は208部(回収率52.0%)であった.気がかりスケール原案の項目に2割以上の欠損値があった1名分を除外し,逆転項目(No.9, 11, 12)の処理後,データを可能な限り生かすため,2割未満の欠損値は中央値を代入した.207名(有効回答率51.8%)を分析対象とした.新版STAIの回収数は65部(有効回答率32.5%)であった.
調査対象者の概要調査対象者の属性を 表1に示す.平均年齢は66.7(SD=12.8)で,男性105名(50.7%),女性101名(48.8%)であった.病名は,乳がん66名(31.8%)が最も多く,次いで前立腺がん54名(26.0%),肺がん25名(12.0%)の順であった.がん告知からの日数は6カ月未満が112名(54.1%),PSは0が110名(53.1%),1が56名(27.1%)であった.病院までの交通手段は,自家用車が141名(65.0%)と最も多く,次いで電車・バス54名(24.9%)であった.家族内の相談者ありは193名(93.2%),家族以外の相談者ありは146名(70.6%)であった.放射線治療の平均予定回数は22.5(SD=10.8),平均照射回数は6.1(SD=7.7)であった.
各項目の回答分布を 表2に示す.天井効果とフロア効果を示す項目はなかった.I-T相関分析では,相関係数は0.05~0.58の範囲で0.2以下であったNo.9, 11, 12の3項目を削除した.項目間相関は0.21~0.65の範囲であり,0.7以上の項目はなかった.GP分析では,全体得点(範囲:17点~54点)の中央値34点のデータを除いて35点以上を上位群,34点未満を下位群として平均得点を比較したところ,すべての項目で上位群のほうが下位群より高く,該当する項目はなかった.
主因子法,プロマックス回転による探索的因子分析を実施した.1回目の因子分析にて因子負荷量が0.35未満を示したNo.10の1項目を削除し,最終的に2因子9項目を採用することとした( 表3).二つ以上の因子に0.40以上の因子負荷量を示す項目は認めなかった.Kaiser-Meyer-Olkinの標本妥当性は0.848, Bartlettの球面性検定の有意確率はp<0.001であった.因子間相関は0.66,共通性は0.29~0.64の範囲であり,累積寄与率は57.8%であった.
各因子について,因子に含まれる項目の内容をもとに命名した.第1因子は4項目で構成され,がん罹患に伴う気がかりを示していることから[がんとともに生きていくことの気がかり]と命名した.第2因子は5項目で構成され,放射線療法の継続における日々の照射生活に伴う気がかりを示していることから[照射生活を送ることの気がかり]と命名した.
信頼性の検討気がかりスケール全体のCronbach’s α係数は0.848,第1因子は0.817,第2因子は0.755であった.本スケールの気がかりは,放射線療法のプロセスにおいて変化しうるものであり,本研究においては再テスト法による安定性の検討は行わなかった.
確証的因子分析によるモデル適合度の検討2因子9項目モデル構造について,共分散構造分析を用いた確証的因子分析を行った結果,適合度指標はGFI=0.930, AGFI=0.879, CFI=0.926, SRMR=0.058であった.
弁別的妥当性弁別的妥当性の検討結果を 表4に示す.気がかりスケール合計点(r=−0.142),[がんとともに生きていくことの気がかり](r=−0.096),[照射生活を送ることの気がかり](r=−0.179)は状態不安尺度と相関を示さなかった.特性不安尺度は気がかりスケール合計点(r=−0.270),[照射生活を送ることの気がかり](r=−0.358)と弱い負の相関を示した.
本研究の調査対象者は男性50.7%,女性48.8%で,病名は乳がん31.8%,前立腺がん26.0%,肺がん12.0%が多かった.全国の実態と比較すると,2021年に放射線療法を受けた患者の性別は男性52.7%,女性47.3%39),2019年の原発巣別新患者数は乳がん22.9%,前立腺がん14.2%,肺がん17.3%と上位の疾患は同じで1),本調査結果は全国の放射線療法を受けるがん患者の実態を概ね反映したものといえる.
因子的妥当性因子的妥当性の検討では,主因子法,プロマックス回転による探索的因子分析で2因子9項目を抽出した.その後,2因子9項目のモデル構造の適合度を検討するため,確証的因子分析を行い,適合度指標はGFI=0.930, AGFI=0.879, CFI=0.926, SRMR=0.058であった.望ましい適合度はGFI, AGFI, CFIは0.90以上,SRMRは0.05未満とされ40),AGFIとSRMRは非常に良好な値とはいえないが,SRMRは適合が悪いとされる0.10以上はなく,許容できる範囲であった.以上のことから2因子9項目のモデル構造は,一定の因子妥当性が得られものと考えられる.
二つの因子は[がんとともに生きていくことの気がかり],[照射生活を送ることの気がかり]と命名した.[がんとともに生きていくことの気がかり]は,放射線療法を受けながら,がんとともに生きていくことに関連した気がかりを示している.放射線療法を受けるがん患者は,がんの転移や再発の脅威との対峙31),死への恐怖41)など,がん罹患そのものから生じる困難を抱えることが報告され,放射線療法を受けるがん患者が根底に抱えているがん罹患に関連した気がかりの項目として妥当であると考える.[照射生活を送ることの気がかり]は,放射線療法の継続における日々の照射生活に関連した気がかりを示している.放射線療法を受けるがん患者は,病院までの通院の負担14),毎日の照射で日常の生活活動の予定が立てられない34)など,照射による日常生活の困難を抱えることが報告され,放射線療法を継続する日常生活に関連した気がかりの項目として妥当であると考える.
信頼性Cronbach’s α係数は,項目数が多いほど,項目間の相関係数が高いほど大きい値となり,一般的には0.70が信頼性の許容可能な値で,心理測定のスケールでは0.80以上が推奨されている42),開発したスケールは9項目で構成され,項目間の相関係数は0.7以上の強い相関は認めず,Cronbach’s α係数は全体0.848,第1因子は0.817,第2因子は0.755であったことから,一定の内的整合性を有すると考えられる.
弁別的妥当性弁別的妥当性の検討では,気がかりスケール合計点は新版STAIの状態不安尺度と相関を示さず(r=−0.142),[がんとともに生きていくことの気がかり](r=−0.096),[照射生活を送ることの気がかり](r=−0.179)も相関を示さなかった.状態不安は,特定の時点や場面・出来事・対象物に対して抱く一時的な不安反応のことを指し36),開発したスケールは不安とは異なる概念を測定でき,弁別的妥当性は確認できたと考えられる.特性不安は,その人の性格などに由来し,不安になりやすい傾向を持つ性質のことを指し36),特性不安尺度は[照射生活を送ることの気がかり]と有意に弱い負の相関を示したことから,概ね弁別的妥当性は確認できた.
看護への示唆2因子9項目で構成される本スケールは,外来で放射線療法を受けるがん患者の気がかりを簡便に把握できるツールである.放射線療法を外来通院で受ける患者は65.8%39)と多く,時間とマンパワーが限られる外来の場では患者が症状や気持ちの変化などの些細な気がかりを表出できなければ重要な症状の兆候やサインを見落とす可能性がある.また,わが国のがん患者の多くが高齢者で我慢は美徳,医療者にお任せする傾向があるため初期段階で医療者が患者の症状に気づくことは容易ではない.このような外来の特徴において,本スケールは放射線療法を受ける多くの外来患者に活用でき,治療開始前から開始直後の気がかりを可視化できる点に独自性がある.放射線治療部門の看護師は本スケールを活用することで,患者の気がかりを的確にアセスメントでき,早期からの個別的かつ具体的な支援が提供できる.また,気がかりを可視化することで放射線療法に従事する多種多様な医療スタッフ間で円滑に情報共有が図れ,チームとして連携・補完し合って患者の気がかりに対応できる.
さらにはスケール項目を踏まえて,外来で放射線療法を受けるがん患者への支援システムや教育プログラムが検討できる.患者にとっては,スケールを記載することで自身の気がかりを整理でき,治療継続に向けた意欲の維持やサポート体制の獲得につながることが期待される.
本研究の限界と課題本スケールは治療開始前~開始直後の比較的早期の対象で検証し,照射中期から後期の対象が含まれていない点で放射線療法を受けているすべての患者には一般化できない.本スケールの合計得点の高さが,外来で放射線療法を受けるがん患者の治療完遂率,QOLと関連するかについては検証していく必要がある.また,気がかりは,がんの病期,症状,健康段階などにも影響を受ける可能性があるため,スケールの一般化可能性を高め洗練することが課題である.本研究では気がかりは放射線療法のプロセスで変化しうるものとして再テスト法は行っていないが,治療のプロセスによる変化を最小限にとどめた方法での評価者内信頼性の測定や医療者評価も行うなどの方法での評価者間信頼性の測定で信頼性を検討していく課題が残る.妥当性についても収束的妥当性や既知集団妥当性の検討は行われておらず,今後は信頼性および妥当性を継続して検討していく余地がある.
本研究で開発した外来で放射線療法を受けるがん患者の気がかりスケールは,信頼性,妥当性の結果に対しては概ね確認できた.スケールは[がんとともに生きていくことの気がかり]4項目,[照射生活を送ることの気がかり]5項目の2因子9項目で構成された.
調査協力をご快諾くださいました施設の看護師の皆様,専門・認定看護師の皆様,質問紙調査にご協力いただきました調査対象者の皆様に深謝いたします.
本研究は,公益財団法人SGH財団 第2回(2020年)SGHがん看護研究助成を受けて実施した.
著者の申告すべき利益相反なし
日浅は研究の構想およびデザイン,研究データの収集,分析,解釈,原稿の起草,原稿の重要な知的内容に関わる批判的な推敲に貢献した.著者は投稿論文ならびに出版原稿の最終承認,および研究の説明責任に同意した.