末期がん患者における睡眠障害に対して, ミダゾラムの持続静脈投与が行われている. しかし, 適切な投与量, 投与方法に関する報告は少なく, また, ミダゾラムの耐性の可能性についてもいくつかの報告がある. 本研究では, ホスピスに入院し, 夜間の睡眠を目的としてミダゾラムを処方された患者19名のミダゾラムの投与速度を後向きに調査した. それぞれの患者で1日ごとに最も長時間用いられた投与速度を“維持投与速度”として, ミダゾラム投与期間における変化と変動要因について検討した. 2名の患者でミダゾラムの投与量は著しく増大した. しかし, 他の17名では, 時間経過に対する変化は統計的に認められず, ミダゾラムの夜間のみの間欠投与においては耐性が起こらない可能性がある. 変動要因としてハロペリドールを投与している患者で維持投与速度の増大が認められた.