2025 年 20 巻 1 号 p. 81-87
背景:国立がん研究センターで実施している,がん治療病院と地域の連携を促す人材を育成する「地域緩和ケア連携調整員研修(以下,研修)」の効果を検討する.方法:2016年から2021年に研修会に参加した施設にアンケート調査を行った.結果:116施設から回答を得て,回答率は50.2%であった.研修の成果については,「ポジティブな変化があった」に分類される回答が78%であった.一方,「ネガティブな変化」については報告されなかった.「終末期がん患者の病院から在宅への円滑な移行を阻む要因」に関して,上位は「患者の社会的背景(独居や高齢等)により在宅療養へ移行できない(88%)」,「患者の在宅療養に対する不安(83%)」であった.結論:本研修は,ポジティブな変化が78%であったことから,一定の効果が得られているといえる.今後は,地域の特性を活かした課題に取り組めるよう,研修の在り方を検討する予定である.