本研究の目的は,子どもに病名を伝えるか否かに悩む乳がん患者を支援する看護師が体験した困難を明らかにすることである.看護師7名と面談を行い,質的記述的に分析を行った.その結果,「患者を支援する時間が十分にもてない」,「医療者間での連携が不十分で継続的に関われない」,「患者の精神的負担に配慮すると,子どもへの病状説明に関する話題に触れられない」,「子どもに病名を伝えないことで最期に生じる親子関係や子どもへの影響を危惧するも,どうすることもできない」の四つのカテゴリーが抽出された.看護師は患者が子どもに病名を伝えていないことで今後生じる問題を危惧していたが,その話題に触れる勇気が持てず苦慮していたことがわかった.このような状況にある看護師へのサポートとして,患者が何に悩み,どうしていきたいと思っているのかを把握し,さらに医療者間で患者情報の共有を図れるように連携する重要性が示唆された.