持続硬膜外注入は局在の明確ながん疼痛に対する有用な鎮痛手段であるが, カテーテル留置期間が長くなれば感染合併の危険性が増す. 対策としてポート使用によりカテーテルおよび薬液注入部を皮下に埋没する方法があるが, 侵襲的であり全身状態の悪い患者への適用には制限がある. われわれは硬膜外カテーテル出口を体幹前面に皮下誘導し, ポートは使用しない方法を積極的に採用しており, 11例, 5~67日の留置においてこれまで感染の合併はない. 今回, 特に感染リスクの高い病態(症例1:腸管皮下交通による皮下気腫, 症例2:皮膚転移部MRSA感染, 症例3:留置後背部皮膚損傷)において本法による持続硬膜外注入を行い, 感染の合併なく留置を続行し有効な鎮痛を得た進行がん患者3症例を経験した. 全身状態の悪いがん患者の疼痛治療において, 本法は有用と考える. Palliat Care Res 2011; 6(2): 350-357