抄録
【目的】オクトレオチドの悪性腹水に対する有用性は, ケースレポートとしては散見されるが, いまだ明らかではない. 本研究の目的は, 悪性腹水に対するオクトレオチドの有用性を明らかにすることである. 【方法】2008年4月1日から2011年10月31日までに, 当院で消化管閉塞に伴う消化器症状の改善目的にオクトレオチドを使用したがん患者のうち, オクトレオチド使用時期に悪性腹水を伴っていて, 使用開始前後にその量をCTで評価をできるものとした. 評価は, 「明らかに減少」「わずかに減少」「不変」「わずかに増加」「明らかに増加」の5つに分類した. 【結果】同期間内に, 当院においてオクトレオチドを使用された症例は49例. そのうち7例が適格基準を満たした. 明らかに減少, わずかに減少は認めなかった. 不変は1例であった. それ以外の6例は, いずれも増加していた. 【結論】本研究では, オクトレオチドの悪性腹水に対する有用性は認められなかった.