抄録
【目的】看取り間近の終末期がん患者の外出・外泊を支援することの意義について検討した. 【方法】2011年1月から2012年12月の間に当院緩和ケア病棟において, 外出・外泊を行ってから15日以内に死亡した27名を対象として, 診療録の後ろ向き調査と遺族へのアンケートを行った. 【結果】患者の年齢は29~91歳, 内訳は外出/外泊: 10/17名, 行き先は自宅/その他: 24/3名であった. 目的は, 用事を済ませたい/家を見たい・帰りたい: 11/9名などであり, 帰院後の感想は肯定的/否定的: 15/6名であった. 遺族調査は18名から回答を得た. 家族の不安と苦労は, 外泊中の急変とその対応, ついで機器・移動・介護などへの援助方法であった. 【結論】看取り間近の終末期がん患者の外出・外泊支援は, 患者・家族にとって有益であった. 急変時の対応について, 具体的な対策を構築して外出・外泊を支援することが家族の安心感につながると考えられた.