抄録
【目的】「キャンパス型緩和デイケア・サロン」に参加するがんサバイバーの体験を質的に調べた. 【方法】サロン利用者10名に半構成的面接を行い, 内容分析した. 【結果】参加動機から【心の支えを求める】【生きる術を学びたい】, 参加した印象から【安心して感情表現できる場】【自由に活動する場】【本音で交流する場】【専門的助言を受け, 活力を得る場】, 参加後の変容から【適正な生活への変化】【再発や最期の時に対するイメージの好転】【家族や周囲との関係性の好転】【行動拡大と役割意識の高揚】の10カテゴリーが得られた. 【考察】がんサバイバーは生きるための支援を必要とし, サロンで感情表出して, がん体験を本音で語り, 互いに受容し合っていった. そして, 内的気づきを通して, 肯定的に現状を捉え直し, 生きる態度を変えていった. この変容には, 大学での自由な活動と心身の安全の保証, 変容の方向性を示すファシリテートが関与したと考えられる.