抄録
【目的】進行・末期がん患者に対するリハビリテーション(以下, リハビリ)の目的は緩和ケアと同じく患者のQOL向上である. 【対象と方法】本研究では患者の主観や希望が反映される言葉を分析対象とし, リハビリで患者が何を訴えるかを明らかにすることを目的とした. 2011年4~9月に担当した延べ47名の進行・末期がん患者とのリハビリ中の会話で印象に残る言葉を抽出し,その意味内容によりトータルペインにいう4つのカテゴリに分類した. 【結果】計215の言葉が抽出され, 身体をテーマとした言葉60%, 精神をテーマとした言葉14%, 社会をテーマとした言葉10%, スピリチュアルをテーマとした言葉7%, カテゴリが重複したテーマの言葉9%に分類された. 【考察】リハビリの立場で患者のQOLを考える際, 身体次元に限定すると40%が対象から外れてしまう. リハビリでも緩和ケアと同様トータルペインの観点に立ち, すべての次元に視野を広げた多面的な介入の必要性が示唆された.