抄録
【目的】東北大学病院のがん看護に携わる看護師の困難感の実態とその関連要因を明らかにする. 【方法】無記名の自記式質問紙調査. 東北大学病院でがん患者のケアに携わる病棟で働く看護師を対象とした. 【結果】512人に調査票を配布し, 有効回答は344人であった(67%). 患者・家族とのコミュニケーションに対する困難感が非常に高く, システム・地域連携に関する困難感, 自らの知識・技術に対する困難感が高かった. また, 医師の治療や対応に関する困難感, 告知・病状説明に対する困難感, 看取りに対する困難感にも改善の余地が示された. がん看護に関する困難感は一般病棟で高く, 過去1年に経験したがん患者のケアの合計人数が多い看護師は低かった. 【考察】今後はコミュニケーション・スキルの向上や, 特にがん看護の経験が少ない看護師に対する教育, 緩和ケアチームの関わりの増加, 退院支援や地域連携などのシステムの再構築などが課題である.