2020 年 45 巻 4 号 p. 358-364
小児後頭蓋窩上衣腫で,播種を伴い多発に再発した場合の治療については一定の見解はない.本症例は第四脳室に発生した退形成性上衣腫の6歳女児で,3回の手術で全摘出後に後頭蓋窩照射するも,その後播種を伴い再発を繰返した.定位照射により各腫瘍は1年程度制御でき,合計14回の手術と11回の定位照射で発症から60か月は良好なQOLを保つことができた.再発時の治療は再手術や追加照射を繰り返すことになり,患児の負担が大きい.定位照射は手術回数を減らしQOLを維持する目的で,治療オプションと成り得ると考えられた.