2020 年 45 巻 4 号 p. 365-372
頭蓋咽頭腫は小児期と成人期の二峰性に好発するが,乳児期発症はまれで,合併症の長期的な管理が難しく予後不良とされる.今回我々は活気不良で発症した14か月男児の頭蓋咽頭腫を経験したので文献的考察を加えて報告する.腫瘍は鞍上部から第三脳室まで及んでいたため,経大脳半球間裂到達法で全摘出した.視神経は温存できたが,術後下垂体機能不全や硬膜下水腫を合併し,治療に難渋した.今後もホルモン補充療法や視力や発達の評価,腫瘍の再発評価など他科と連携しながら厳重な管理を要すると考える.