2020 年 45 巻 4 号 p. 373-377
交通外傷による硬膜損傷を伴う頭蓋骨骨折は,遅発性髄液漏や感染予防のため確実な硬膜閉鎖や頭蓋形成が求められる.症例は6歳男児,交通外傷により外傷性頭蓋内出血と頭蓋骨粉砕骨折を認めた.右前頭葉や眼窩内に陥頓した骨片を除去し,骨膜およびフィブリン糊,吸収性ポリグリコール酸シートを用いて硬膜閉鎖,ハイドロキシアパタイトを使用し頭蓋形成術を施行.術後感染なく独歩退院.交通外傷による硬膜損傷を伴う頭蓋骨骨折では確実な硬膜閉鎖が必須で,審美面を考慮した頭蓋形成術においてハイドロキシアパタイトが有用であった.