2022 年 47 巻 3 号 p. 309-313
壊血病はVit.C欠乏により易出血性を呈する疾患であるが,先進国では食料事情の改善でほとんど認められなくなった.症例は4歳女児,下肢の疼痛症状で歩行困難となり骨髄炎や歯肉腫脹を来していた.頭痛が出現し外傷歴のない硬膜外血腫を指摘され手術を施行した.入院経過中に極度の偏食であることが判明し,Vit.C欠乏が示唆され壊血病の診断に至った.Vit.Cの補充により急速に症状は改善し良好な転帰を得た.本疾患は多彩な症状を呈し診断困難な場合があるが,偏食などの病歴を把握し診断・治療へつなげることが重要である.