主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:中枢神経系の発達障害からみた周産期医療
回次: 13
開催地: 東京都
開催日: 1995/01/21
p. 11-16
はじめに
周産期医療の著しい進歩は,新生児死亡率の劇的な改善をもたらし,わが国を世界一のレベルにまで押し上げた。その結果,今までかえりみられることのなかったような在胎22週未満,もしくは500g未満のきわめて未熟性の強い児まで救命医療の対象となり,その予後についてさまざまな論議がなされている。すなわち,救命率は向上したものの,最終的な周産期医療の目標はintact survivalであり,果たして後遺症なく児を救命できているのか,さらに,もし後遺症をもっているならばそれに対するサポートは十分になされているのかが今後の問題としてクローズアップされるようになり,盛んにハイリスク児のフォローアップの重要性が指摘されている。
このような流れのなかで,ハイリスク児の後遺症として最も重要なものの一つである重症心身障害や脳性麻痺に関しても,その発生要因が何であるのかを知ることは今後の周産期医療を進めていくうえできわめて重要なポイントであり,著者らもこれまでに新生児医療との関連性という観点から検討してきた1, 2)。
今回,著者らは通園施設で訓練中の脳性麻痺児について,その発生要因を明らかにすべく,妊娠・分娩における危険因子と新生児期になんらかの症状がみられたか否かによって分類し,後方視的に検討を加えたのでここに報告する。