周産期学シンポジウム抄録集
Online ISSN : 2759-033X
Print ISSN : 1342-0526
第15回
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シンポジウム A:原因・病態
胎児期より新生児期の肺血管抵抗の推移
大道 正英神崎 徹福家 信二光田 信明村田 雄二村上 典正千葉 喜英
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p. 67-76

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抄録

 はじめに

 肺高血圧症は成人,新生児を問わず重篤な疾患であり,特に新生児では的確な診断,治療が生命予後に大きく関与する。人工サーファクタントの登場により呼吸窮迫症候群(respiratory distress syndrome;RDS)の呼吸循環管理が容易になり,早産児の生命予後が著明に改善された。しかし,胎児循環が遺残し呼吸循環状態が悪循環に陥る新生児肺高血圧症(persistent pulmonary hypertension of newborn;PPHN)は,いまだ満期出産児の重大な死因の一つである。PPHNは慢性的な胎内低酸素状態が原因ではないかといわれているが,いまだその病因については不明で,出生前診断もしくはその予測が困難なのが現状であり,出生後maximam ventilatory supportにても酸素化が悪く,USGにて動脈管(ductus arteriosus;DA),卵円孔(foramen ovale)の肺外shuntが右-左方向で及びTR(三尖弁を介するjet flow)を確認することによって診断可能である。

 しかしながら,新生児の肺血管抵抗について客観的に評価した報告はない。そこで出生後正常新生児の肺血管抵抗はどのように変化していくのか,さらに胎内での胎児肺血管抵抗はどのようになっているのかを検査するため,われわれは,成人肺高血圧の非侵襲的診断に用いられている肺動脈血流波形を用いacceleration time(AT), acceleration time/ejection time(AT/ET) ratioを測定した。

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© 1997 日本周産期・新生児医学会
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