周産期学シンポジウム抄録集
Online ISSN : 2759-033X
Print ISSN : 1342-0526
第18回
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シンポジウム第 2 部
新生児ヘルペス母子感染の診断と治療
二村 真秀加藤 丈典長谷川 泰三本庄 孝江遠藤 大一
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p. 91-99

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抄録

 はじめに

 新生児の単純ヘルペスウイルス(HSV)による母子感染には,妊娠早期の胎内感来によるものと,分娩時あるいは生後早期に感染するものとがある。前者はTORCH症候群として知られ,胎内発育遅延,その後の発育・発達障害が著しい。後者は新生児ヘルペスといわれ,病型によっては予後は楽観できない。今日,HSVに対してきわめて良好な治療効果か得られるアシクロビル(以下ACV)が供給されているにもかかわらず,新生児ヘルペス,特に全身型における予後が決して満足できるものではないことがわが国のみならず,海外においても指摘されている1, 2, 3)。その最大の理由は,発病時に特異的症状が乏しいため診断,治療が遅れるからであると言われている。

 今回,シンポジウム「胎児・新生児の予後に影密を及ぼすウイルス惑染」の一演題として,「新生児ヘルペス母子感染の診断および治療」を発表する機会が与えられた。優れた治療薬が供給されているので,早期診断,早期治療の必要性をあらためて強調し,一層の治療成績の向上を期待する目的で,小児科の立場から検討した。

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© 2000 日本周産期・新生児医学会
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