主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:予後不良因子を有する胎児・新生児への医学的対応
回次: 19
開催地: 東京都
開催日: 2001/01/19 - 2001/01/20
p. 47-59
はじめに
近年の周産期医療の進歩により,とりわけ,新生児集中治療室(neonatal intennsive care unit;NICU)の普及により周産期死亡率および新生児死亡率は飛躍的に改善されている。しかしながら,常位胎盤早期剥離などの子宮内での低酸素症に起因する新生児低酸素性虚血性脳症(hypoxic ischemic encephalopathy;HIE)の治療成績は満足いくものではなく,現在の治療法では死亡もしくは重篤な後遺症を残すことか少なくない。成人の集中治療領域において脳低温療法による脳神経細胞保護効果が報告されており,HIEに対してもその効果が期待きれる。
そこで,これまでのHIEにおける発症メカニズムおよびその治療法の変遷をreviewし,新生児に対する脳低温療法の可能性についてわれわれが行っている動物実験を中心に検討した。