主催: 周産期学シンポジウム抄録集
会議名: 周産期学シンポジウム:21 世紀の周産期医療システム:問題点と展望
回次: 21
開催地: 東京都
開催日: 2003/01/17 - 2003/01/18
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第21回日本周産期学会が2003年1月に東京プリンスホテルで開催された。シンポジウムのテーマは「21世紀の周産期医療システム:問題点と展望」である。
周産期医療のシステム化は国民的課題であり,厚生労働省も推進しているが,地域によっては整備が遅れている。東京都や大阪府のような大都市においては,周産期センターを中心としたピラミッドモデルが確立されつつあるが,それでもNICUの病床不足や,産科医師不足のため緊急時の対応が困難なことがある。一方,地方においては周産期に関する医師不足は一層深刻な問題であり,さらに搬送に長時間を要するなどの問題が提起され,地域の特性に合わせた周産期医療システムの確立が急務であることが示された。
周産期医療システムの確立のためには,施設間のスムーズな情報交換と医療水準の標準化が必要であり,そのためには電子カルテの導入など周産期医療のIT化が今後の重要な課題であることが提案された。
このような討論から,周産期医療は個人の臨床医の必死の努力によって支えられている部分も多いが,医療のシステム化などの社会的支援がなければ実現不可能なことの多い分野であると切実に感じられた。
周産期医療の今後の展望を明るいものとするためには,周産期医療に関わる臨床医,医療施設,医療施設への人的資源の供給に関与する医育機関,そして行政が密接に連携し,新しい周産期医療システムの確立のために粘り強い努力をすることが必要であると思われた。本学会の開催が今後の周産期医療発展に役立つことを願っている。