主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:母児の予後からみた娩出のタイミング
回次: 22
開催地: 愛知県
開催日: 2004/01/23 - 2004/01/24
p. 81-89
概要
一絨毛膜性双胎(以下MD twin)において各種心機能を計測し,新生児の予後から,前方視的にどの指標が分娩のタイミングをみるうえで有効かを知ることを目的に本研究を行った。対象は当科で管理したMD twin(2001年3月~2002年10月)14組28症例である。心機能の評価としてAoVmax, PLI, CTAR, Tei indexを経時的に計測した。併せてUARI, MCARI, NST, 羊水量,推定児体重も計測した。本研究期間における分娩のタイミングはTTTSの発症とした。TTTS群とnon-TTTS群に分類し,それぞれの群における各計測値を解析した。合併症のない正常単胎胎児40例(妊娠22週から37週)よりTei indexの正常値を得た。TTTS recipient fetusにおけるAoVmax, PLI, CTARは妊娠経過中その値はほぼ正常範囲内であったが,両心室Tei indexはTTTS発症以前から高値を示し,妊娠経過とともに増加傾向を示し,TTTS発症時には正常域を大きく逸脱していた。一方,分娩直前のTei indexはTTTS群recipient fetusでコントロールに比べ有意に高値を示した。donor fetusおよびnonTTTS群とコントロール群間で差は認められなかった。新生児カテコラミン投与例は7例存在し,そのTei indexは非使用症例に比べ高値であった。以上の成績から心室の収縮・拡張能の指標であるTei indexの上昇はMD twinにおけるTTTS発症の予知情報であり,また新生児心機能の予後との関連も示され,Tei indexはMD twin分娩のタイミングを決定するための重要な指標になりうる可能性が示唆された。