主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:生活,環境,薬剤などの母児に及ぼす影響
回次: 23
開催地: 東京都
開催日: 2005/01/21 - 2005/01/22
p. 11-17
はじめに
カフェインは医薬品のみならず日常摂取される種々の物質に含有され,妊婦が日常的に摂取する1)。薬物のなかではカフェインは母体を介して胎児への影響を多く与えている。したがって,他の薬物に比べ,母体を介したカフェインの胎児ヘの危険性や影響については比較的詳細な報告が存在する2, 3)。諸外国では母体カフェイン摂取量や胎児への曝露量についての詳細な研究4)があるものの,食習慣・生活習慣の異なる本邦における母体カフェイン摂取量や胎児曝露量に関する検討は報告がほとんどなく,本邦においても詳細な検討が必要である。
さらに,胎内で曝露されたカフェインの新生児ヘ及ぼす影響については諸外国においても十分な検討はなされていない5, 6)。本邦では諸外国に比ベカフェイン以外の喫煙や飲酒などの影響が比較的小さいと考えられ,カフェイン単独の影響を観察するのに適した環境がある。
今回は,香川大学医学部附属病院で出生した新生児およびその母親について,カフェインおよびその代謝物のジメチルキサンチン(Theophylline, Paraxanthine, Theobromine)血中濃度の測定とともに,新生児ブラゼルトン行動評価を行い,胎内で曝露されたカフェインの及ぼす新生児への影響について検討し報告する。