主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:生活,環境,薬剤などの母児に及ぼす影響
回次: 23
開催地: 東京都
開催日: 2005/01/21 - 2005/01/22
p. 93-99
緒言
近年は女性の社会進出も進み,平成15年度には雇用者数の40.8%を女性が占めるに至っている1)。しかし,女性労働者の場合には男性にはない性差,婚姻,妊娠という因子が加わることで,男性労働者とは異なる肉体的・精神的なトラブルが起こり,最終的には疾病に至る可能性も考えられる2)。特に医療の場では女性看護師が妊娠した場合,労働そのもののストレスに加えて,看護業務に特有の要因が加わることで妊娠経過や胎児への影響が今までにも報告されている。しかし,その報告の多くは疫学的なアンケート調査であって,実際に産婦人科医が関与しているものはほとんどない。
本研究では,医師にとって身近な存在である看護師の妊娠・分娩経過を調べることにより,女性労働者が妊娠・出産した場合に生じうる医学的な問題点はどのようなものかを検討し,さらに看護師と同じように立ち仕事や肉体労働が多い看護助手との比較を通して,それらの問題点が看護業務という特殊な労働のみに起こりうるものなのかどうかも併せて検討した。また「妊娠が看護業務に与える影響」を考えるためにアンケート調査を行い,妊娠中に看護業務を行う際の問題点を調べた。最後に,妊娠している看護師の1日の歩行数や労働中の子宮収縮を調べて専業主婦と比較したので併せて報告する。