周産期学シンポジウム抄録集
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Print ISSN : 1342-0526
第28回
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シンポジウム午前の部:新生児・薬の医療安全
周産期・新生児領域における医薬品の安全対策とその課題
村上 真紀
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p. 57-60

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抄録

 医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and MedicalDevices Agency,PMDA)では,厚生労働省との連携のもとに,医薬品および医療機器の承認審査および治験相談(開発への助言),市販後の安全対策および副作用被害救済を行っている。医薬品・医療機器が有効かつ安全に使用されるためには,承認審査の段階では,非臨床および臨床試験の結果から想定されうる安全性上の問題点について,治験と異なる環境下で広く使用されることを前提として,どのような対策を行うべきかを検討することが重要となる。また,市販後は副作用・不具合情報を始めとした使用実態下における情報・問題点を効率よく収集し,得られた情報に基づいて新たな安全対策を講じていく必要がある。

 特に周産期・新生児領域に関しては,小児や妊婦をターゲットとした開発でない限り,医薬品の臨床試験(治験)では小児や妊婦は除外基準に設定されていることが多いため,承認・販売までに小児や妊婦に投与した場合の有効性や安全性の情報が得られることは極めて少ないのが現状である。また,国内においては,小児や妊婦に関する開発が積極的に行われているとは言い難く,限られた情報から探索的に投与の可否や投与量,投与方法を判断せざるを得ない場合も少なからず想定される。このような状況を踏まえつつ,特に安全性の観点から,妊婦・授乳婦および小児に薬剤を投与する際の判断材料として何が必要か,今後得ていくべき情報は何か,添付文書等による情報提供はどのようになされるのが望ましいか等にふれながら,周産期・新生児領域における安全対策のあり方について,以下に私見を示す。

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© 2010 日本周産期・新生児医学会
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