主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:周産期における鎮静・鎮痛・麻酔
回次: 29
開催地: 佐賀県
開催日: 2011/01/14 - 2011/01/15
p. 51-54
背景
諸外国では一般的に行われている無痛分娩であるが,わが国では,一般の妊婦だけでなく,分娩に携わる医療従事者の間でも無痛分娩に対する理解が十分でなく,その普及の障害となっている。
無痛分娩のメリットとしては,無痛分娩を受ける母体が肉体的にあるいは精神的に楽であるということだけでなく,分娩経過中にもし緊急帝王切開が必要となった場合でも,すでに留置されている硬膜外カテーテルを用いていつでも緊急の帝王切開に対応できるというメリットがある。また無痛分娩希望の妊婦が無痛分娩導入前に緊急帝王切開が必要になったとしても,事前に麻酔科医による評価(スクリーニング)が行われていれば余裕を持って対応することが可能である。さらに,無痛分娩で出産する妊婦が増え麻酔科医が分娩フロアーに常駐するようになれば,産科医や助産師と麻酔科医とのコミュニケーションも円滑になり施設全体の分娩の安全性も向上することが期待される(表1)。
本研究では,特に無痛分娩中の妊婦で緊急帝王切開が必要になった場合に硬膜外カテーテルを用いて安全かつ迅速に帝王切開が行えるメリットに注目し,硬膜外カテーテルの信頼性を2種類の無痛分娩の方法(硬膜外麻酔単独および脊髄くも膜下硬膜外麻酔併用法)で比較した。