周産期学シンポジウム抄録集
Online ISSN : 2759-033X
Print ISSN : 1342-0526
第34回
会議情報

シンポジウム午前の部
早産期発育不全児における予後因子解析による至適分娩時期の検討
笹原 淳
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 49-53

詳細
抄録

 背景

 早産期発育不全児は,早産による未熟性に加えて育不全による新生児合併症も増加するため中・長期的予後という点からもハイリスクである1-3)

 海外の大規模研究によると,出生体重<3パーセンタイルの早産期発育不全児は週数相当の早産児と比較して,その新生児死亡率は約9倍にものぼる。在胎週数,出生体重,臍帯動脈血流および静脈管血流は,新生児死亡や神経学的予後不良に関連する周産期因子として認識されている4─6)。また,発育不全児における羊水過少は,一般的に胎児胎盤血流の悪化による結果として認識されており,その他の周産期因子とともに児の短期生存予後に関連するとする報告がされている7, 8)。しかしながら,早産期発育不全児の予後において,これらの因子を広く包括して解析した報告はない。

 このように予後に関連する因子が不明の状況で,臨床的に胎児発育不全児を管理する際の管理は施設ごとの判断に委ねられているのが現状である。発育不全状態を胎内で改善しうる方法はないため,胎児死亡を回避しつつ可能なかぎり妊娠週数を延長して児の未熟性を改善することが一義的に必要であろう。わが国における児の娩出基準もさまざまである(図1)。

 本研究は早産期発育不全児における短期・長期予後不良頻度を明らかにし,周産期因子と予後不良の関連性を明らかにすることを目的とした。

著者関連情報
© 2016 日本周産期・新生児医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top