主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:母児の予後からみた娩出のタイミングと方法
回次: 34
開催地: 兵庫県
開催日: 2016/02/05 - 2016/02/06
p. 45-47
背景
胎児水腫(hydrops fetalis: HF)は,胎児の血管外,体腔内に過剰に水分貯留した状態で,5mm以上の皮下浮腫,心嚢水,胸水,腹水の2つ以上を有するものと定義され,胎盤浮腫や羊水過多の合併も知られている。
HFの発症頻度は1,700~3,000妊娠に1例とされ1, 2),その生存率はHF全体で12〜24%,出生児に限っても50%程度と予後不良な疾患である1, 3, 4)。HFの予後関連因子として,原疾患,特に胎児治療不能例のほか,診断週数や分娩週数が早いことが報告されている5)。胎児治療は予後改善に寄与すると報告されており6),わが国でも2012年に重症胎児胸水に対する胸腔羊水腔シャント術(thoraco-amniotic shunting: TAS)が保険収載され,今後の普及が期待されている。
HFの生命予後,発達予後関連因子や胎児治療の効果の検討を通じて,HFの周産期管理,特に予後からみた適切な娩出時期についての考察を行うことを目的に,多施設共同の後方視的検討を行った。