主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:母体・胎児・新生児の立場から常位胎盤早期剥離を考える〜母児の予後改善のために〜
回次: 36
開催地: 長野県
開催日: 2018/01/19 - 2018/01/20
p. 37-42
背景
常位胎盤早期剥離は1,000分娩あたり単胎妊娠で5.9件,双胎妊娠で12.2件に発症し,その周産期死亡率は全体の周産期死亡率に比べ10倍以上高い予後不良の産科疾患である1〜3)。また,わが国においては常位胎盤早期剥離の出生児からの脳性麻痺発症のリスクはおよそ20倍と報告されている4)。常位胎盤早期剥離の危険因子として,妊娠高血圧症候群,常位胎盤早期剥離の既往,子宮内感染,切迫早産,前期破水,外傷,喫煙などが知られている1)。一方,最新のデータによると出生時脳性麻痺発症の主たる原因としての単一の病態として常位胎盤早期剥離は全体の16.9%を占めている5)。しかしながら,常位胎盤早期剥離のなかでも出生時に脳性麻痺に至った症例におけるリスク因子の検討はこれまでなされていない。抽出されたリスク因子を除外することで常位胎盤早期剥離による出生児脳性麻痺の発症を減少させられる可能性がある。