主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:母体・胎児・新生児の立場から常位胎盤早期剥離を考える〜母児の予後改善のために〜
回次: 36
開催地: 長野県
開催日: 2018/01/19 - 2018/01/20
p. 85-89
背景
三重県では,年間約15,000の分娩を,37施設で取り扱っている。95%以上の分娩施設が,三重大学産婦人科教室の同門であり,その他の施設も臨床研究に協力的である。このことから,三重県は周産期のpopulation based studyや地域全体を対象とした介入研究に理想的な環境である。
三重県では周産期死亡率を改善するために,2012年から周産期センターを有する5つの基幹病院の産科医と新生児科医が集まり,妊娠22週以降の子宮内胎児死亡(intrauterine fetal death;IUFD)・死産例,新生児死亡例および神経予後不良例について症例検討会を4カ月に1回行っている。検討会には行政代表として医療政策監,診療所代表として産婦人科医会顧問,発達フォロー側から療育センター長も参加している。2012〜2014年の周産期症例検討会の結果から,IUFD・死産の原因では常位胎盤早期剥離が20.6%と一番多く,新生児死亡の原因でも常位胎盤早期剥離が14.4%を占め,予後不良例も12.6%を占めていた。このことから,常位胎盤早期剥離への対策を取ることが急務であることが判明した。