主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:母体・胎児・新生児の立場から常位胎盤早期剥離を考える〜母児の予後改善のために〜
回次: 36
開催地: 長野県
開催日: 2018/01/19 - 2018/01/20
p. 91-97
はじめに
産科医療補償制度の再発防止に関する報告書では,常位胎盤早期剥離(早剥)は診断から児娩出までをいかに短縮できるかが重要であり,各地域の院内整備や搬送体制の構築を最優先事項に挙げている1)。その対策としてわれわれの施設では,2015年度より周産期救急に対する院内連携の改善に向け,多部署との合同研修会を産婦人科主導で毎年開催している。次に,岡山県内の超緊急搬送例の時間短縮に向け,2016年4月から県下で搬送の円滑化の取り組みを始めた。とりわけ高次医療施設以外で発症した超緊急症例(早剥例など)を円滑に搬送・院内連携するための新システムとして「OKAYAMA Picss®」[Perinatal integrated conveying sheet system:以下,OP(オカヤマピクス)]を構築し県下で導入した。さらに安全性を備えた搬送の効率化を目指すため,2017年4月にインターネット回線を利用しOPをサポートするための搬送補助アプリシステムを発案し「iPicss®(アイピクス)」と名付けた。このようなアプリを駆使した搬送システムは,われわれが詮索した限り見当たらない。現在施行中のPilot studyの後,県医療推進課の承諾のもと,2019年1月から県下全施設でiPicss®の使用をスタートする予定である。