主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム
回次: 4
開催地: 東京都
開催日: 1986/01/18
p. 20-28
I はじめに
今日,血液,尿など生体試料から数多くの臨床化学検査が行われており,それら各検査法を羊水に適用すれば,それぞれ何らかの測定値が得られるはずである。その測定値の中には妊娠週数に伴って増減するもの,変化を示さないものなどがあり,また見方を変えれば母体血の成分を主として反映するものや,胎児血ないし胎児尿成分を反映するものなど種々のものが存在する。
我々,周産期医学に関係するものにとっては,羊水からの胎児情報として超音波検査などで得られるような胎児形態変化のほかに,胎児の機能的成熟に関する的確な情報を得たいのが切なる願いである。
今回の日本周産期学会で筆者に与えられたテーマは「羊水中諸物質の動態と胎児発育」であり,本稿では胎児発育とともに変化する羊水中物質についてreviewし,次に現在筆者らが進めている羊水中カテコラミン系物質の妊娠中の変動についての研究の一端を紹介したい。