周産期学シンポジウム抄録集
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Print ISSN : 1342-0526
第5回
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シンポジウム II:妊娠 30 週未満の分娩方法をめぐる諸問題
シンポジウムのまとめ
井村 総一
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p. 168-169

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抄録

 I アンケート調査から

 全国の主要な分娩施設およびNICU 118施設での調査結果(昭和60年)をみると,超未熟児の50%救命率は在胎25~27週に集中し,出生体重では700~800gであった。90%救命率は28~30週,900~1,000gの間にあり,在胎27週,出生体重800gあたりに一つの境界があるようであった。

 極小未熟児,超未熟児の帝王切開に関しては,大部分の施設で帝王切開を行うとし,適応の最低基準は24~28週,出生体重は500~1,000gに分布している。

 超未熟児の分娩様式についてみると,帝王切開率は22% 約1/4で,適応は胎児側因子として胎児仮死が約半数を占め,母体側因子として妊娠中毒症が1/3を占めている。

 超未熟児の帝王切開に関しては,胎児仮死が児の予後を左右する最大の要因であるので,そのためには帝王切開を含めた何らかの処置が必要であり,超未熟児といえども生存の可能性を求めて最善をつくすべきであるとする考えが多いが,その際に切開方法に工夫が必要であるとの考えや,予後との関連から家族との話合い,週数,体重,胎位,母の年齢,合併症など家族的要因とともに十分考慮のうえ,症例ごとに慎重に対処すべきであるとの意見も少なくない。また,帝王切開と経腟分娩とを比較するデータが乏しいこと,50%救命率程度で優劣を決められるかなどという疑問も呈示された。

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© 1987 日本周産期・新生児医学会
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