主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:胎児仮死および新生児仮死
回次: 6
開催地: 大阪府
開催日: 1988/01/23
p. 133-137
I 胎児仮死の分類
いかなる所見で胎児仮死と診断するかという問題は,胎児仮死の病態そのものを定義することと同義である。胎児仮死の原因や病態を探る目的のために,ある診断基準で胎児仮死群を設定することは,タイムマシンで過去に遡りそこでタイムマシンを完成させる,バックトゥーザフューチャーのストーリーに似ているといえないこともない。このようなジレンマはあるが,本研究においては出生時臍帯動脈血pHが7.24未満の例を胎児仮死があったと定義することにした。
対象は昭和57年から昭和62年,国立循環器病センターで出生した児847例のうち,出生時臍帯動脈血ガスの測定された807例である。pH7.24未満の胎児仮死は128例で,陣痛発来以前に帝王切開したもの(陣痛前群)32例,経腟分娩したものあるいは陣痛発来後に帝王切開したもの(陣痛後群)96例であった。