周産期学シンポジウム抄録集
Online ISSN : 2759-033X
Print ISSN : 1342-0526
第6回
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シンポジウム II:胎児仮死および新生児仮死:診断と治療
光工学的手法を用いた非侵襲的羊水診断――羊水混濁からみた胎児仮死の診断――
住本 和博金山 尚裕寺尾 俊彦
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p. 138-144

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抄録

 はじめに

 胎児の状態を反映する情報としては,いろいろなものがあるが,とりわけ胎児の生活環境である羊水には,多くの胎児情報が反映されている。羊水情報のなかでも,ことに胎便による羊水混濁は,従来より胎児仮死の一つの徴候と考えられていた。胎児が仮死状態に陥ると腸の蠕動運動が亢進し,肛門括約筋が弛緩することにより,胎便を羊水中に排泄し,羊水混濁を生じることはよく知られている。これを診断する方法として,従来より羊水鏡が用いられてきた。しかし,これは肉眼による診断のため客観的な測定が困難であり,また著明な混濁に際してのみ診断が可能であったといえる。

 そこで,羊水混濁と胎児仮死を初めとする各種病態との関係をより詳細に検討するために,まったく新しい光工学的手法を用いたシステムを開発した。これは,羊水の蛍光スペクトル特性を測定することにより羊水の胎便汚染度や胎児尿成分を解析する方法であり,non invasiveかつ非常に高感度で測定することができる。

 そこで,本法を用い,臨床に直ちに利用できる専用のシステムを開発するとともに,これにより得られた羊水混濁と各種病態の関係について検討した。

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© 1988 日本周産期・新生児医学会
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