主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:胎児仮死および新生児仮死
回次: 6
開催地: 大阪府
開催日: 1988/01/23
p. 19-29
I 目的
中枢神経系は極めて脆弱な組織からなり,胎児仮死による影響を最も受けやすい臓器であるとされている。しかも一度変性を起こすと再生されないという組織の特殊性のため,中枢神経系障害は短期的な周産期予後ばかりではなく,長期予後にも大きな影響を与える。したがって,胎児仮死が中枢神経系に及ぼす影響を明らかにすることは周産期医学上の重要な課題となっている。すでに病理学的な研究は多くなされており,無酸素であるtotal asphyxiaでは10分前後で不可逆的な虚血性壊死の所見がみられ,30-35分で死亡に至るとされている1)。本研究においては,胎児仮死が中枢神経系に及ぼす影響に関し,器質的な障害に至る以前のreversibleな段階での機能異常に焦点を当て,その発生機構を解明するため,ヤギ子宮外胎仔保育法を用い低酸素負荷・二酸化炭素負荷を行い,胎児脳波と脳血流量の変化を観察検討した。