周産期学シンポジウム抄録集
Online ISSN : 2759-033X
Print ISSN : 1342-0526
第6回
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シンポジウム I:胎児仮死および新生児仮死:病因と病態
胎児仮死と胎児中枢神経機能
上妻 志郎根本 明彦香川 秀之梁 栄治中村 真小松崎 潔升田 治夫川本 英三前田 津紀夫篠塚 憲男秋葉 和敬海野 信也岡井 崇桑原 慶紀水野 正彦
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p. 19-29

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抄録

 I 目的

 中枢神経系は極めて脆弱な組織からなり,胎児仮死による影響を最も受けやすい臓器であるとされている。しかも一度変性を起こすと再生されないという組織の特殊性のため,中枢神経系障害は短期的な周産期予後ばかりではなく,長期予後にも大きな影響を与える。したがって,胎児仮死が中枢神経系に及ぼす影響を明らかにすることは周産期医学上の重要な課題となっている。すでに病理学的な研究は多くなされており,無酸素であるtotal asphyxiaでは10分前後で不可逆的な虚血性壊死の所見がみられ,30-35分で死亡に至るとされている1)。本研究においては,胎児仮死が中枢神経系に及ぼす影響に関し,器質的な障害に至る以前のreversibleな段階での機能異常に焦点を当て,その発生機構を解明するため,ヤギ子宮外胎仔保育法を用い低酸素負荷・二酸化炭素負荷を行い,胎児脳波と脳血流量の変化を観察検討した。

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© 1988 日本周産期・新生児医学会
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