主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:IUGR
回次: 7
開催地: 東京都
開催日: 1989/01/21
p. 175
IUGRの新生児期合併症とその管理について小口は詳細な検討をしたが,特に問題となることは感染の合併が高いということであった。これは子宮内における感染と出生後の感染の両者の危険が多いとのことであり,SFDとして出生した児の管理にあたっては十分な注意を払わねばならないことが指摘された。
さらにディスカッションのなかで,NICUにおける手洗いをはじめとする感染予防対策について見直しの必要性が問われた。今後の検討に待ちたい。小口はさらにSFD児を体重と頭囲の組合わせからいくつかのproportionの程度に分けて,各グループ間における合併症の発現頻度を比較したが,在胎週数の同じグループ間では際立って有意な結果は得られなかった。しかし,このような胎児の発育パターンと予後との関係などは重要な問題であるので,今後さらに詳しく検討する必要があることが提示された。
予後に関する検討は山口をはじめとして主に精神発達について述べられた。特に山口は妊娠中期に始まった中毒症母体から出生した児に脳障害発生率が高いと述べ,さらに,中毒症発症初期から産科管理を十分に行った例では後障害の発生の率が低くなると述べ,産科と小児科と連携のよくとれた胎児管理が必要なことを強調した。頭囲の発育の悪いものほど後障害発生の可能性が高いのではないかと推測されるようなデータは各演者から発表されたが,どのくらいの期間が危険なのかあるいはどの程度が危険なのかについては明確な結論が得られないままに終わった。今後の検討に期待したい。