周産期学シンポジウム抄録集
Online ISSN : 2759-033X
Print ISSN : 1342-0526
第7回
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シンポジウムA:IUGR:病因と病態
Villitis of Unknown Etiology(VUE)の同胞例の検討――IUGRの再発について――
若浜 陽子中山 雅弘今井 史郎竹内 徹
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p. 33-38

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抄録

 はじめに

 IUGR児の胎盤を病理学的に検索すると,種々の異常所見が認められる。1981年10月から1988年12月までに当センターで検索し得た胎盤で,AGA児,SGA児における異常所見の認められた頻度を検討してみると,妊娠中毒症でよく認められる母体面硬化や大梗塞は,SGA児において発症率はよリ高い。胎盤組織の顕微鏡的評価をしえた胎盤2,119例の検討では,絨毛炎はSGA児の10.9%, AGA児の1.7%に認められている(図1)。

 絨毛炎の原因としてはrubella, syphilis, mycoplasmaなどがあげられているが,絨毛炎の98%は原因不明とされている。当センターの成績でも絨毛炎の96.5%が原因不明であった。原因不明の絨毛炎(villitis of unknown etiology :VUE)の臨床的意義は周産期死亡およびIUGR児の発症に関係が深いことが報告されている1, 2)。わが国においても今井3)がすでに報告しているが,VUEの認められた胎盤を有した児では,仁志田らの胎児発育曲線4)において出生体重が-1.5SD以下のIUGR児は70.2%を占めていた(図2)。

 今回われわれは,このVUEの研究を一歩進め,VUEが一回の妊娠でのみみられる偶発的発症であるのか,あるいは繰り返されるものかということを検討した。

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© 1989 日本周産期・新生児医学会
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