主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:IUGR
回次: 7
開催地: 東京都
開催日: 1989/01/21
p. 54-58
はじめに
IUGR(子宮内発育遅延)は,病因・病態ともに種々の様相を呈し,予後の面からも周産期管理における大きな問題のひとつである。
この病態のひとつに羊水過少の合併があり,日常臨床でしばしば経験されるが,IUGR胎児では尿産生量が低下していることが報告されており1, 2),これが羊水過少の原因であると考えられる。この尿産生量低下の機序はまだ明らかにされていないが,IUGRではなんらかの障害が胎児に及んでおり,そのため胎児の体内では循環動態の変化が起こり,その部分変化のひとつに腎動脈血流の滅少があり,その結果,腎での尿産生率が低下する,という機序が考えられる。
本研究では,IUGR胎児における腎動脈血流減少を調べる目的で,パルスドプラ法を用いて,正常発育胎児とIUGR胎児の腎動脈血流計測を行った。