主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:IUGR
回次: 7
開催地: 東京都
開催日: 1989/01/21
p. 59-68
はじめに
1983年にCampbellら1, 2)は超音波ドプラ法血流分析法を利用すれば子宮内胎児発育遅延(以後IUGRと略す)および妊娠中毒症の発症が予測できるという画期的な報告を行った。それ以来,母体の子宮動脈,胎児の臍動脈,大動脈,脳内動脈,心臓内血流などにおける超音波ドプラ血流波形分析法は,妊娠中毒症,高血圧症,腎炎,甲状腺疾患,糖尿病などの母体疾患や,胎児仮死,IUGR, 免疫性・非免疫性胎児水腫,先天異常などの胎児疾患の,それぞれ周産期管理において早期診断,病態解明,予後予測などにきわめて有用であるという報告が相次いて発表されつつある3~11)。
そこで今回はIUGRを合併する妊娠について,超音波ドプラ血流計測法によって子宮動脈と臍動脈,すなわち母児両方面から,胎盤血流における血管抵抗の変化を検討したので,ここにその成果を発表する。