周産期学シンポジウム抄録集
Online ISSN : 2759-033X
Print ISSN : 1342-0526
第9回
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シンポジウム B:自己免疫疾患合併妊娠における母児管理
自己免疫疾患合併妊娠における児の転帰に関する検討
――当院の最近15年間の成績について――
三村 俊二浅野 恵子中尾 吉邦春日井 正秀倉内 修
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p. 81-86

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抄録

 はじめに

 周産期の内科的合併症のうち,児の転帰に影響を及ばすことの多いものとして自己免疫疾患は重要な位置を占める。自己免疫疾患は,一部の疾患群では臓器特異性を有するものの,一般には多彩な全身症状を呈することが多く,また児への影響の発現の機序としても,母体の基礎疾患の一部分症状として直接的に胎児・胎盤系に作用する場合,自己抗体が経胎盤的に胎児へ移行し一過性に母体と類似した症状を呈する場合など,必ずしも一律ではない。

 以上のことから想像されるように,児への影響の点においても各疾患によりさまざまであり,個別に検討する必要がある。ただ一般的に,従来ともすれば経胎盤移行した自己抗体が引き起こす典型的な児の合併症のみが注目されることが多く,その結果,予後不良例の経験をもとにして児側の合併症について強調しすぎる傾向が,一部の小児科医あるいは新生児科医に認められるように思われる。

 今回,妊娠許可条件の問題も含め,母体の原疾患のコントロールの状態が児の転帰に関する決定因子として何よりも重要であるとの考えから,母児とも一定水準の管理を受けた場合に,児のリスクはどの程度あるかという点を中心に検討を行った。

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© 1991 日本周産期・新生児医学会
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