抄録
筆者らは能動義手を使用していた左肘離断者に対して,症例の希望によりハーネスを使用しない筋電義手を作製したので報告する.症例は40歳代前半の男性で右利きである.電動ハンドの筋電位信号を採取する筋は上腕二頭筋と上腕三頭筋である.ハーネスを取り除くためソケットは差し込み機能適合式ソケットとし,さらに残存している上腕骨内側上顆および上腕骨外側上顆に懸垂力を高める工夫を行った.肘のロック操作は非切断肢で他動的に行った.その結果,ハーネスを使用せずに筋電義手の操作が可能となり復職した.肘離断の場合でもハーネスを取り除き,筋電義手を適用することが可能であると考えられた.