抄録
本研究の目的は装具の継手が持つ抗力によって胸部を押す力を与えて腹筋の活動を高めることのできる抗力を有した継手付き体幹装具(Trunk Brace 以下 TB)を開発し,歩行時における脊柱起立筋と腹直筋の筋活動を計測することでその装着の効果を客観的に示すことである.健常成人男性 9 名を対象として装具なし,TB 装着,ジュエット式装具装着の 3 条件で歩行の時間距離因子の測定および筋電計を用いて腹直筋と脊柱起立筋の筋活動の計測を行った.結果として,歩行の時間距離因子に条件による違いはみられなかったが,TB 装着時には腹直筋の活動が高まる一方で脊柱起立筋の活動が低下することが明らかとなった.本研究において開発した TB が胸部を押す抗力により腰部にかかる力の方向を変えることで体幹筋の活動様式を変化させることが明らかとなった.