抄録
本論の目的は,上腕カフの材料であるアクリル樹脂硬度と形状の違いによる上腕カフ内圧を測定し,肘システム義手の懸垂に適する上腕カフのアクリル樹脂硬度と形状を決定すること,そして前腕切断者に肘システム義手を作製し,上腕カフとソケットによる懸垂および考案したケーブルの長さ調整機構の操作性を検証することであった.その結果,上腕カフのアクリル樹脂硬度は軟性材料を 60%,硬性材料を 40%とし,形状は顆上部を絞り込んだものとした.前腕切断者に作製した肘システム義手の懸垂は,上腕カフのみでは困難であったため,ソケットを自己懸垂式とした.考案したケーブルの長さ調整機構は非切断側のみでの操作を可能としたが,実用性向上には更なる改良が必要であった.