抄録
脳卒中片麻痺患者に対し,長下肢装具を使用して運動療法を行う目的と実際の進め方,神経機構を基にした歩行トレーニングの考え方について述べた.歩行能力の向上に従い,長下肢装具から短下肢装具へのカットダウンが検討される.変化が大きく明確な基準が存在しないこの過程を円滑に進めるためには,より細かく段階を刻み,双方向への変更が可能な「セパレートカフ式長下肢装具」の活用が有効であり,使用例を交えて紹介した.セラピストは,治療戦略において装具を効果的に使用できるよう,装具自体に施す工夫に加え,その使い方に関しても,探究し習熟する必要がある.