2013 年 29 巻 4 号 p. 206-211
四肢切断後に現れる幻肢痛をはじめとする神経障害性疼痛の発症には末梢神経系と脊髄での神経系の異常興奮とその可塑性に加え,大脳を中心とした中枢神経系の可塑性が関与していることが最近の脳機能画像研究から確立しつつある.幻肢の随意運動の中枢神経系における制御機構をもとに,われわれが行っている鏡を用いて幻肢の随意運動を獲得させることによる臨床治療(鏡療法)についてその有効性と限界,そして今後の幻肢痛および神経障害性疼痛に対する新規神経リハビリテーション治療の可能性について概説する.