2020 年 36 巻 2 号 p. 110-112
近年,義肢のテクノロジーの急速な発展に伴い,上肢切断者を取り巻く環境は大きく変化した.日本における筋電義手はおおよそ50年前に研究,開発が開始されたが普及に至らなかった歴史がある.しかし,労働者災害補償保険による片側前腕切断者への筋電義手給付が,研究用支給を経て2013年に実現されたことで普及の兆しがみえ始めた.そして現在,多機能,高性能の筋電義手が利用可能となり,上肢切断者のニーズに対してより高い水準で対応しうる時代が到来した.しかしながら,高性能で高価な筋電義手の支給基準に対するコンセンサスは得られていないのが現状である.今回は,国内で入手可能な5指駆動型筋電義手と昨年当センターで実施した試用評価の紹介,および今後の課題について述べる.