2020 年 36 巻 3 号 p. 202-207
本研究では,車椅子座位時の不良姿勢が身体に及ぼす影響について主に自律神経活動の指標から分析を行った.10名(男女各5名)の健常者を対象に異なる座位姿勢での計測を行った.評価パラメータには,心拍,心拍変動,アミラーゼ活性値,フリッカー値,NRS, 座面接触面積,座圧を用いた.座位姿勢の違いによる座面接触面積と左右座圧の最大値およびNRS結果から,臨床上考える車椅子座位時の不良姿勢は再現されていた.また,その際の臀部へのリスクおよび痛みに対する精神的負担を定量的に明らかにすることができた.しかし,自律神経活動への影響は,不良姿勢の際に交感神経活動が高まる傾向がみられたが,その他のパラメータからは,明らかな違いはみられなかった.