2022 年 38 巻 1 号 p. 53-59
有史以来,災害の多い日本であるが,近年は東日本大震災,熊本地震といった地震災害に加えて,毎年のように甚大な水害も全国各地で発生している.まさに,災害はどこにでも起こりうるという状況であり,不安を感じている義肢装具使用者もいる.また,高齢化社会においては,避難所生活そして環境の問題による生活不活発にて,身体·認知機能低下をきたす被災者も少なくない.このような状況に対して,現在リハビリテーションに関連する13団体が参画してJRATが設立され,災害リハビリテーション支援活動が行われているが,義肢装具等への対応,義肢装具士の災害支援活動の体制は,まだ十分ではない.本稿においては東日本大震災·熊本地震時の義肢装具等への対応の実際について,支援された方に執筆していただき,あわせてJRATの概要についても記した.