2022 年 38 巻 1 号 p. 74-79
理学療法士を仕事としている成人先天性左前腕欠損症に対し,筋電義手が有効であった症例を報告する.症例は25歳女性,先天性左前腕欠損症.筋電義手の操作を習得し,筋電義手の貸し出しを実施した.仕事上ではできることとできないことをはっきりさせてから患者に対して使用したところ,安全に有効に使用することができた.仕事では,訓練室の整備や訓練時間で常時装着し,安全に筋電義手は使用され,仕事内容の効率化や身体的負担の軽減が得られ,対応できる症例や訓練内容が拡大した.理学療法士という安全性が重視される仕事でも,できることとできないことをはっきりさせることで,安全に有効に筋電義手を使用することが可能になる.